<密着マーク・町田>
サッカーJ1の優勝争いで瀬戸際に追い込まれつつある3位のFC町田ゼルビアは3日、最下位のサガン鳥栖とアウェーで対戦する。首位のヴィッセル神戸とは勝ち点7差。残り4試合と大詰めを迎え、奇跡の逆転優勝には勝利が必須だ。手痛いミスが続いている日本代表GKの谷晃生は、「失敗があって成功がある」と前向きな言葉で諦めない姿勢を示した。(加藤健太)
◆ミスから失点…でも「消極的になってはダメ」
チームはリーグ最少失点ながら、ここ3試合で7失点とシーズン終盤に来て堅守に陰りが見える。抜群の安定を誇ってきた谷も、直近の2試合で失点につながるミスを重ねた。前節の柏レイソル戦ではCKをキャッチしにいったところをつかみ損ねて先制点を献上。土壇場の同点劇で敗戦こそ免れたが、23歳の守護神はぼうぜんとした様子でピッチから引き揚げ、珍しく取材エリアに姿を見せなかった。
柏-町田後半、先制ゴールを決める柏・細谷(左から2人目)。右手前は町田のGK谷=10月19日、三協F柏で(平野皓士朗撮影)
1日の練習後に取材に応じた際、柏戦の失点シーンを「トライするところと、割り切るところの判断」と振り返った。その見極めを誤ったとはいえ、積極性こそが強みでもある。再起を懸ける背番号1は「ミスを繰り返さないことが大事だけど、消極的になって自分の良さが薄れてはいけない。GKは他の選手のミスを救えるポジションなので責任を持ってやりたい」と名誉挽回を誓った。
柏-町田試合前にGK谷(中央)の元に集まり円陣を組む町田イレブン=10月19日、三協F柏で(平野皓士朗撮影)
柏戦からの2週間で、チームは守備の修正に重点を置き、相手ボール時の追い込み方を中心に対応を確認した。黒田剛監督は「まずゼロに抑えることが、われわれのコンセプト中のコンセプト」。無失点にこだわる考えを、あらためて強調した。
練習後に取材に応じるFC町田ゼルビアのGK谷晃生㊧、黒田剛監督㊨=いずれも1日、東京都町田市で(加藤健太撮影)
今季の躍進は紛れもなく守備が支えてきた。相手に得点を許さず時計の針を進め、少ないチャンスを確実に仕留めて競り勝つ。1-0のスコアを理想とする試合運びで、初昇格のJ1で旋風を巻き起こしてきた。あっさりゴールを割られる展開が3試合続いているだけに、無失点で終えることが自信を取り戻す何よりの薬になるはずだ。
◆前節でJ2降格決まった鳥栖が相手「失うものがない相手は怖い」
3日に対戦する鳥栖は前節にJ2降格が決まった。3月の前回対戦では3-1で快勝しているものの、降格の悲劇を味わった今は底知れない力を発揮する可能性もある。指揮官は「吹っ切れた状態でぶつかってこられるのが一番怖い。失うものが何もない状況はすごくパワーが出る」と慎重な口ぶりで警戒した。
戦況は依然厳しい。それでも黒田監督は「上に手が掛かっている以上、貪欲に、果敢にチャレンジしていきたい」と強気を崩さない。シーズン当初に掲げた勝ち点70を達成するためにも、1敗もせず、最後まで優勝争いにしがみつく。
【関連記事】絶対に外せないPK…町田ゼルビア・下田北斗が見せた土壇場の強心臓「僕のタオルマフラー」で気持ちに余裕
【関連記事】町田ゼルビア、下位の柏に痛恨ドロー自慢の堅守にほころび黒田監督「まだ首位に手が届く」と鼓舞