寄付金次第で「推薦入学」疑惑 東京女子医大は過去、文科省の問い合わせに「全面否定」していた

東京女子医大(東京都新宿区)の推薦入試で、同窓会組織「至誠会」が持つ推薦枠の対象者を選ぶ際、会への寄付金額などを考慮に入れていた疑いがある問題で、大学入試を所管する文部科学省が2019年に疑惑を把握し、大学に説明を求めていたことが大学関係者や文科省への取材で分かった。

◆「当時は具体的な物証がなく、それ以上調べるのが難しかった」

東京女子医大病院

関係者によると、至誠会の推薦枠は3親等以内に卒業生や在校生がいる受験生が対象。10人程度を定員に、19年度入学の推薦入試から始まった。文科省には19年末、至誠会が大学に推薦する受験生を決める過程で、寄付金などを考慮に入れているという情報提供があったという。

文科省は全国の私立大に出した02年の通知などで、入学に関する寄付金などの収受を禁じている。このため同省は、情報提供について女子医大に問い合わせたが、同大は書面で「そういった事実はない」などと全面的に否定したという。

同省大学入試室は「当時は具体的な物証がなく、それ以上調べるのが難しかった」と説明している。

本紙が入手した資料によると、文科省が問い合わせをした後の推薦入試でも、至誠会枠の推薦の対象者を決める事前審査の項目に、会への寄付金や預託金の金額が含まれていた。この推薦は24年度入学の入試まで続き、毎年10人前後が合格していた。(佐藤航)

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