パリパラリンピックに向けて母校の児童からエールを送られる辻内彩野選手(手前中央)=江戸川区で
8月28日に開幕するパリパラリンピックの視覚障害競泳代表に内定している辻内彩野(あやの)選手(27)の壮行会が10日、母校の東京都江戸川区立二之江(にのえ)小学校であった。水泳の授業で交流してきた児童から大きな声援を送られ「目標は自己ベストの更新。東京大会より速く泳ぐことをみんなに約束したい」と笑顔で誓った。(押川恵理子)
江戸川区出身の辻内選手は小学3年で水泳を始め、インターハイにも出場するなど活躍した。だが徐々に視力が下がり、大学1年の時、視力低下や視野の欠損が生じる進行性の難病「黄斑(おうはん)ジストロフィー」と診断された。初のパラ出場となった2021年の東京大会では3種目で入賞を果たした。パリ大会は東京大会よりも障害の重いS12クラスで、100メートル自由形など3種目に出場する。
体育館で行われた壮行会では全校児童約400人が「頑張ってください」と声をそろえ、花束を贈った。その後、4年生の授業に参加した辻内選手は水泳の上達方法などを聞かれ「できるだけ好き嫌いせずしっかり食べ、早く寝る。その積み重ねで速く泳げるようになる。一番はたくさん練習すること。けがをしないように」と助言した。
辻内選手は19年から年1回ほど、同小で水泳を教えており、ともに昨年に習った6年生の下地潤(ひろ)さん(11)は「プールの楽しさをたくさん教えてくれた。辻内選手のようにやさしく、かっこいい、速い選手になりたい」、上村咲貴(さき)さん(11)は「水泳が苦手だったけれど楽しくなった」と感謝。あこがれの先輩の活躍を願っていた。
辻内選手は8月31日から試合に臨む予定。取材に対し「日本チームに貢献できるレースをしたい」と決意を語った。