東京23区の民間火葬場の料金が高騰している問題で、23区の首長でつくる特別区長会が、火葬場の公共性を踏まえて、民間事業者に収支の透明性を示すよう義務付ける法整備を厚生労働省に緊急要望した。
民間火葬業者の法整備についての緊急要望書を武見敬三厚労相(右から2人目)に手渡した特別区長会の吉住健一会長(同3人目)=特別区長会提供
◆「営利目的でゆがめられてはいけない」
23区では火葬場9カ所のうち7カ所が民営。そのうち6カ所を運営する1事業者の料金は近年値上げが繰り返され、現在は9万円に達した。事業者は設備維持費などを値上げの理由に挙げているが、火葬業以外の事業も手がけているために、値上げが適切かどうか判別しづらい状況にある。
要望では「火葬場の経営が営利目的でゆがめられてはいけない」と指摘。事業者が火葬業の独立採算制を導入するなどして、許可権者の区に非営利性の確保を示す義務を法律で定めるよう求めている。
特別区長会によると、26日に吉住健一会長(新宿区長)らから要望書を受け取った武見敬三厚労相は「厚労省がどこまで関与できるのか微妙。ただ価格の問題はおろそかにできないので、注視する」と答えた。
全国の火葬場のうち99%が自治体などの公営で、料金は1万~2万円。一方、人口が密集し火葬場の新設が難しかった23区では、民間事業者が寺院など古くからあった火葬場を買収し、規模を拡大した経緯がある。(原田遼)
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