「裏金問題はあやふやのまま」「衆院選で議員入れ替えを」…。次期首相を事実上決める自民党総裁選が告示された12日、東京都内の街頭で声を聞くと、自民党政治への厳しい視線が際立った。総裁選で議論されている選択的夫婦別姓制度の導入のほか、早期の衆院解散で政治の刷新を求める声も上がった。(東京ニュース取材班)
◆「国民に信を問うべき」衆院解散を求める声も
「裏金問題があったので、お金にきれいな人が新しい総裁になって」。渋谷の街中を歩いていた世田谷区の主婦(56)は強調した。「けじめという意味で、国民にも信を問うた方がいい」と衆院解散を求めた。
岸田文雄首相は、裏金問題の責任を取るとして出馬しなかった。新橋駅にいた50代女性は「普通の人があのような不正をしたら、この程度では済まない。国会議員だけがおとがめないのはおかしい」と憤る。
自民党総裁選告示を報じる街頭の巨大モニター
映画プロデューサー須藤為五郎さん(67)=荒川区=も「裏金問題はあやふやで未解決のまま。自民は誰がトップになっても変わらない」と突き放した。
自民は選択的夫婦別姓制度に否定的だったが、今回の総裁選では賛成する候補者もいる。浅草・雷門通りを歩いていた小学校の非常勤教諭の女性(28)=墨田区=は「仕事で積み上げてきたものがある。名字は変えたくない」と制度導入を望む。
◆「日本は遅れてるよ」「衆院選にらみで選ぶのはおかしい」
西浅草の商店街を長女(1)と歩いていた主婦(30)=台東区=は「候補者9人の名前はわからない」と関心は低いが、「別姓を選べるならそうなってほしい」と期待した。渋谷を訪れていたアルバイト鈴木昇さん(58)=台東区=は「制度があっていい時代だと思うし、日本は遅れているよ」。
立川市のアルバイトの女性(63)は「裏金問題とかいろいろあって、ガス抜きみたいな印象」と総裁選には冷めた様子。ただ、選択的夫婦別姓については「政治の世界でも少しずつ理解が広がっているのを感じる。今回の総裁選でもテーマの一つになっているのはいいことだと思う」。
7日に告示された立憲民主党の代表選とともに「めちゃくちゃ注目している」と話すのは、日野市で飲食店を営む川上雄真さん(39)。「政治とカネの問題も大事だけど、一番は物価高対策や経済対策。しっかりと議論をした上で、できるだけ早い時期に衆院選を行い、私たちも意思表示できる機会をつくってほしい」と求めた。
一方、新橋駅で待ち合わせ中だった会社員の高山朝弘さん(41)は、衆院選を見越した総裁選びにくぎを刺した。「衆院選で勝つための総裁を選ぶとしたらおかしい。衆院選と切り分けて、ふさわしいリーダーを」
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