生徒が思い思いに過ごす「にしまるーむ」を運営する本間優輔さん(左)ら=いずれも豊島区で
教室に入りにくい子どもたちの「居場所」を校内に設ける学校が、東京都内でじわりと増えている。学校や地域の支援団体につながり続けられるほか、不登校予防の効果も期待される。関係者が事例を発表する「中学校内の居場所サミット2024」が16日午後2時から、豊島区立西池袋中学校で開かれる。(中村真暁)
「こんにちは」。今月上旬の放課後、西池袋中の「にしまるーむ」と名付けられたスペースに、生徒たちの声が響いた。ぬいぐるみやソファが置かれたアットホームな雰囲気の中、友達とカードゲームをしたり、何げない会話を楽しんだり。2年の男子生徒(14)は「ここなら他のクラスの子や、教室に来ない子とも話せる」と笑顔を見せた。
運営するのは、地域で子どもを見守る活動を展開する認定NPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」。午後の授業時間と放課後の2部制で、授業時間は教室に入りにくい生徒、放課後は生徒なら誰でも利用できる。スタッフの本間優輔さん(25)は「ここはしなければならないことがない。何をしても、しなくてもいい」とほほ笑んだ。
区教育委員会とネットワークは昨年3月、居場所づくりの協定を締結。モデル校となった同校が5月にるーむを開設すると、不登校気味だったが「ここなら行ける」と訪れるようになった子がいた。生徒の発案で、るーむの看板やキャラクターもつくられた。
同校では今年9月から、午前から利用できる別の居場所「道の駅(不登校支援室)」も開設。教員が常駐し、進路相談などにも応じる。八尋崇校長は「子どもたちのニーズは多様。その子なりの頑張りに応えられる場を作りたい」と強調した。
西池袋中学校に新しく開設された居場所「道の駅」
ネットワークによると、居場所を設ける学校は少しずつ増えており、関心も呼んでいる。サミットでは、西東京市立柳沢中と足立区立花保中、板橋区立板橋第三中での実例も報告される。参加無料。申し込みは、ネットワークホームページから。