首都圏での連続強盗事件を受け、警視庁と埼玉、千葉、神奈川の3県警は18日、合同捜査本部を設置した。4都県で8月以降に起きた14事件を重点的に調べて首謀者らの特定を目指し、全容解明にあたる。
一連の事件は、工具でガラスを壊して室内に侵入し、住人を緊縛して暴行を加えるなど荒っぽい手口が共通する。15日に横浜市であった事件では住人の男性が殺害され、17日には千葉県市川市で住人女性が連れ去られるなど、徐々に凶暴になっている。
パトカー(資料写真)
警察庁によると、18日午前までに9事件で計29人を逮捕。逮捕者の供述などから、実行役は交流サイト(SNS)で「闇バイト」に応募し、離合集散を繰り返していることが判明。一部の容疑者はニセ電話詐欺に関わった疑いもあり、合同捜査本部はSNSなどでつながる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による事件とみて、今後、実行役へ指示を出していた人物の捜査を進める。
18日の会議で、警視庁の親家和仁刑事部長は「日本警察の総力を挙げて、事件の背後にいる悪いやつらを早期に切りとり、犯罪グループの実態や事案の全容を解明する必要がある」と述べた。(鈴鹿雄大)
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◆実行役とは「シグナル」でやり取り
首都圏で相次いでいる「闇バイト」による強盗事件で、実行役に強盗を指示した人物が、スマートフォンの通信アプリ上で「夏目漱石」「ジョジョ」「赤西」などのアカウント名(アプリ上の名前)を使っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。警視庁などは指示役が名前を変えながら、犯行を繰り返したとみて調べている。
捜査関係者によると、逮捕された実行役の男らは秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で指示役とやりとりしていた。押収したスマートフォンを調べた結果、指示役のアカウント名が明らかになった。
◆練馬、所沢の指示に使われた「夏目漱石」
「夏目漱石」のアカウント名は、東京都練馬区と埼玉県所沢市の強盗事件の指示に使われたと判明し、東京都国分寺市の事件にも関係しているとみられる。「ジョジョ」「赤西」を名乗るアカウントも複数の事件で使われていた。他にも指示役とみられるアカウント名が確認されており、計10種類以上あったとみられる。
一連の強盗事件は8月以降、4都県で連続発生。その他の地域でも同時期に手口の似た事件が発生しているといい、警視庁などの合同捜査本部は、関連している可能性もあるとみている。(鈴鹿雄大、米田怜央)
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