警視庁の男性警察官が自殺 「こんなこともできないの」「もう辞めた方がいい」 直属の上司が日常的に叱責

東京都東部にある警視庁警察署で、上司から日常的に「もう辞めたほうがいい」などと執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けていた男性署員が、1月に自殺していたことが警察関係者への取材で分かった。警視庁は叱責を職務上の指導の範囲内だとして、パワハラ行為と認めなかった。

警視庁

警察関係者によると、男性署員が1月下旬、東京都内の自宅で死亡しているのを家族が見つけた。自宅と職場からは、生前の職場の悩みを書き残した遺書やメモが見つかった。

警視庁は当日に状況を把握して経緯を調査。遺書や関係者を調べた結果、男性署員は署に赴任した昨年秋以降、直属の上司らから日常的に叱責され、悩んでいたことが判明した。警察関係者によると、「そんなことも分からねえのか」「こんなこともできないの」「もう辞めた方がいい」などときつい口調で言われていたという。

◆警視庁はパワハラとは認めないものの、上司を指導へ

同庁は叱責をパワハラ行為とは認めず、懲戒処分の対象にはならないとした一方、署員が亡くなった結果は重大とし、直属の上司を指導する方針。当時の署長は8月、副署長は2月にそれぞれ定期異動した。

警視庁は本紙の取材に「関係者のプライバシー等の観点から詳細は差し控えるが、本件を大変重く受け止めている。職員に寄り添った対応が徹底されるよう、指導教養に一層取り組む」とコメントした。(鈴鹿雄大)

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◆京都府警本部長も「殺すぞ」…徹底した縦社会、苦しむ人も

階級を基本とした徹底した縦社会の警察組織。警視庁を含む各都道府県警察では、幹部からの暴言などに思い悩む現場職員が後を絶たない。

「殺すぞ」。京都府警本部長は8月、部下からの仕事の報告を不満に感じ、こう発言した。後に府警はパワハラ行為にあたると認め、警察庁が事実上更迭する人事を発令した。

警視庁

2014年には警視庁で「おまえらだめだ」などと上司に責められた警察官が自殺し、パワハラが原因と認められた。15年には兵庫県警で先輩の叱責(しっせき)などを苦にした自殺があり、遺族と県の民事訴訟に発展。今年3月に和解した。

厚生労働省によると、23年の全国の「警察官・海上保安官・看守・消防員等」の自殺者は計76人。うち職場に関係する動機が最多の41人だった。

今年1月に命を絶った警視庁警察官も職場で悩みを募らせたとみられる。ある現職警察官は「今も厳しい言動を『指導』と認める人がいる」とし、「使命感を持って働く現場の人間が力を発揮できる組織であってほしい」と語った。(鈴鹿雄大)

◆相談窓口


・「いのちの電話」


0570-783-556(午前10時~午後10時)


0120-783-556(フリーダイヤル、毎月10日午前8時~翌日午前8時)


・全国のいのちの電話一覧(一般社団法人「日本いのちの電話連盟」)


・いのち支える相談窓口一覧(いのち支える自殺対策推進センター)


・こころの健康相談統一ダイヤル


0570-064-556(曜日、時間は都道府県により異なる)


・都道府県・政令指定都市の相談窓口

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