<ひと ゆめ みらい>変わる街をジオラマに 高校鉄道模型コンテスト優秀賞・梅津健(うめづ・けん)さん(17)=東村山市

高架化工事の進む西武鉄道東村山駅(東京都東村山市)の風景をジオラマに再現し、全国高等学校鉄道模型コンテストで優秀賞に輝いた。多くの学校が何人ものチームで製作に挑む中、たった1人で1年以上の月日をかけて完成。ダイナミックに変わりゆく街の姿と、そこに生きる人々の営みを、作品中に鮮やかに切り出してみせた。

埼玉県飯能市に住み、東村山市の私立明法高校に通う。東村山駅は毎日の登下校途中の駅の一つだ。

もともと工作が好きで小学校高学年のころからジオラマ作りに没頭。高架化工事で日々姿を変える東村山駅の様子に「立体的でジオラマにしたら面白そう」と考えた。

作品作りを始めたのは昨年5月。衛星写真など工事の資料を集め、情報を収集。駅に通い、ホームや乗客、工事の外観などを撮影した。写真は100枚を超えた。

ジオラマには極力既製品を使わず、紙や木材を加工して手作りした。放課後や休日、深夜など「時間があるときはずっと作業した」。なじみのない工事の設備や工法については、建設の仕事に就く父に何度も尋ね、助言をもらった。

駅を覆うように建設が進む新駅の高架橋と大型クレーン、その真下で今も使われている駅ホーム、精密に再現された自動販売機や看板、駅前の志村けんさんの銅像。季節は夏の初め、平日の夕方をイメージし、友人と楽しそうに話しながら電車を待つ高校生など人物も一つ一つ手作りした。約1年3カ月をかけ、今年8月に完成させた。

「時間をかけて手を動かすほど、いいものになっていく。そんなアナログなところが好きです」とジオラマの魅力を語る。

鉄道模型コンテストは8月、新宿区で開催。初出品ながら、最優秀賞に次ぐ優秀賞を受賞した。「自分の作品を多くの人に見てもらえてよかった。でも今ならもっといい物がつくれますよ」と笑う。

普段は、さだまさしさんや寺尾聡さんなどの音楽を好んで聴く一面も。「趣味が変わってるから、学校ではおじいちゃんなんて呼ばれてます。古い時代の変わっていくものにどこか引かれるんですよね」。しばらくは大学受験に向けた勉強で忙しくなるが「ジオラマでもいつか、高度経済成長期など昭和のころの駅をテーマに、時代物の作品に挑戦したい」と話す。(岡本太)

<東村山駅>1894年、当時の川越鉄道の駅として開業。現在は3路線が乗り入れる西武鉄道の駅として、1日乗降客数は約4万4千人にのぼる。高架化工事は2028年度完成予定。周辺の踏切が撤去され、渋滞の解消が期待される。


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