東日本大震災からの復興支援として、毎年、47都道府県のコメを使って醸造している日本酒「絆舞(きずなまい)」の仕込み作業が、福島県会津坂下(ばんげ)町の曙(あけぼの)酒造で始まった。今年は地震、豪雨に見舞われた能登半島の復興を願い、被災した書家が自らの障害も克服して揮毫(きごう)した「絆舞」の文字をラベルにする。(清水孝幸)
書家は、石川県七尾市の願正(がんしょう)寺前住職、三藤観映(みつふじかんえい)さん。2年前に脳卒中で右手が動かなくなったが、左手で書き続けてきた。正月の地震では寺の本堂が崩れ落ちるなどの被害に遭った。ラベルは、度重なる災難にも負けず、懸命のリハビリによって動くようになった右手で書いた。
仕込み作業に先立ち、のと共栄信金(七尾市)の鈴木正俊理事長が福島県の佐藤宏隆副知事に三藤さんの書を寄贈。「絶望のどん底から再び生きる希望をもらい、筆を持つことができました」との三藤さんのメッセージを披露した。
絆舞は12月3、4日に東京ビッグサイトで開かれる「よい仕事おこしフェア」(本紙など特別協賛)で販売開始。フェア実行委員会の事務局を務める城南信金(東京都品川区)が全国の信金を通じて260地域のコメを集めた。林稔理事長は「全国の信金のきずなで日本を明るく元気にしていきたい」とあいさつした。
絆舞は製法の異なる4種類を計約1万本生産する。1本につき100円を被災地に寄付する。